貝殻はほぼ円形に近い扇形で、直径は最大20cmに達します。左殻は茶〜紫褐色で膨らみが小さく扁平で、右殻は白色で膨らみが大きく半球形を呈し前耳に弱い足糸湾入があります。左殻・右殻ともに放射状の18〜28本前後の隆起部(放射肋)を持ちますが、左殻のほうが細かく、また表面にはうろこ状の彫刻がある貝殻は貝殻細工やカキの採苗器に用いられます。通常二枚貝は閉殻筋(へいかくきん:貝柱)を2つ持ちますが、ホタテガイは付着生活に入る時期に前側の閉殻筋が退化し、後側の閉殻筋が中央部に移り、大型の貝柱として存在します。また、閉殻筋は食用とされ刺身、ボイル製品、乾物(干貝柱)や缶詰等にされます。
本州東北地方・北海道・オホーツク海・北朝鮮に多く生息し、天然には水深10〜30mの砂礫底に生息します。産卵は水温が8〜9℃になると行われます。産卵期は3〜4月(陸奥湾)、5月(稚内)、6月(根室)、6〜7月(千島)となっています。
ホタテガイは雌雄異体ですが、成長に伴い雄の一部が雌に性転換します。天然貝では0年貝と1年貝ではすべて雄ですが、2年貝に移行する間に性転換し、2年貝では半数が雌になります。
門 軟体動物門 Mollusca |
亜門 有殻類(貝殻類) Conchifera |
綱 斧足類(双殻類、二枚貝類、無頭類、欠頭類) Pelecypoda |
亜綱 弁鰓類 Lamellibrancha |
目 貧歯類(異筋類、不等筋類、異柱類) Dysodonta |
亜目 翼殻類 Ptericonchia |
科 イタヤガイ科 |
動物界中の門 |
軟体動物門中の亜門 |
有殻類中の綱 |
斧足類中の亜綱 |
弁鰓類中の目 |
貧歯類中の亜目 |
参考文献:岩波 生物学辞典