ほたての解剖2

右殻(茶色)を取り除いたところ。
(99.01.27)

閉殻筋(貝柱)

貝柱は貝殻を閉じる閉殻筋のことです。二枚貝は普通、前側と後側に二つの貝柱を持っていますが、ホタテガイは付着生活に入る時期に前側の閉殻筋が退化し、後側の閉殻筋が中央部に移り、大型の貝柱として存在します。ホタテガイが貝殻を開閉し、海中を移動できるのは、この巨大な貝柱のおかげです。また、貝柱の側面には貝の開閉運動を補足する小柱があります。

中腸腺(ウロ)

貝殻接続部の近くにあり濃緑色をしています。これは、胃・肝臓の役目を果たしており、捕食した餌は、中腸腺から生殖巣の内部を循環する消化腺を通り、小柱の側面につながる肛門から排泄されます。

ホタテガイが餌としているプランクトンによって毒化した場合、この部分に特異的に貝毒が蓄積されます。貝毒の詳細は<ほたての貝毒1>を参照。

外套膜(ヒモ、ミミ)

ホタテガイ軟体部は、うすい透明な膜でおおわれており、これを外套膜といいます。外縁部では肉厚の約1cm幅の紐状となっており、貝殻を作る貝殻分泌突起や触手、目があります。

 


外套膜を1枚取り除いたところ。
(99.01.27)

心臓

ホタテガイの心臓は一心房二心室からなり、動脈と静脈が通っています。血液は無色透明です。

外套膜の上に黒く点在しています。レンズや網膜などがあり、高等動物に匹敵するほど発達していますが、実際は光を感じる事しかできないようです。

鰓(エラ)

外套膜の下にあって貝柱から外縁部に向けて放射状に存在し、淡褐色をしています。海水中から、餌や酸素を取り込んだり、二酸化炭素を放出する働きをしています。

 


エラを取り除いたところ。
(99.01.27)

 

生殖巣(精巣・卵巣)

ホタテガイの仲間は通常雌雄同体ですが、日本のホタテガイは雌雄異体です。貝柱の片側にあって、3〜4月の産卵に向けて1〜2月より大きくなります。この時期には、雄の精巣は白く、雌の卵巣は赤く色が付いているので、肉眼で雄・雌の区別ができます。