ほたての名前

1.和名の由来

 ホタテ貝は、帆立貝、車渠、海扇などと書かれてきました。

 ホタテ貝の名の起こりは、和漢三才図絵(1716年、寺島良安編)にみられるように、

「その殻、上の一片は扁くして蓋のごとく、蚶(あかがい)、蛤(はまぐり)の輩と同じからず、大なるもの径1〜2尺(30〜60cm)、数百群行し、口を開いて一の殻は舟のごとく、一の殻は帆のごとくにし、風にのって走る。故に帆立蛤と名づく。」

 によるものと考えられます。おそらく昔は、この貝が一片を帆のように立てて海中を走るものと考えられていたのと思われますが、これは、実は誤りです。たしかに、素早い運動はするけれども、それは、貝の中に入っている海水を勢い良く吐き出すこと(閉殻筋=貝柱によって殻を閉じる。)によって、その反作用で跳ぶように動くもので、帆を立てて走る云々には当たりません。


2.学名の由来

 学名 Patinopecten Yessoensis (JAY) は、

 1856年にアメリカ人の Jay によって命名されたもので、その意味するところは、「蝦夷産の櫛」で、ほたて貝殻の表面にある条肋を櫛の歯になぞらえたものです。