ほたての成長

 ホタテ貝は、雌雄異体(まれに同体もあります)で、 むつ湾での産卵期は、3月〜4月となっています。 雌1個体の抱卵数は、約1億粒(数千万〜1億数千万粒)です。

 春の産卵期が近づくと、生殖巣が大きくふくらみ、 橙赤色が雌で、淡黄色が雄の生殖巣です。 卵径は、約80ミクロン(1ミクロン=1/1000mm)です。 春、水温が6〜8℃になると、海中に卵や精子の放出がはじまり、 海中で受精が行われます。

 この後、発生・浮遊生活を続け浮遊生活約40日で物に付着します。 その付着時期は、桜の開花後の4月下旬〜5月下旬です。 この頃の貝の大きさは約300ミクロンとなっています。 付着生活は40〜60日位で、盛夏の頃7〜8月に落下して 海底生活に移ることになりますが、 このことが、ホタテ貝の生死を決定づける重要なことになります。 すなわち、落下の頃の、貝の大きさが8〜10mmで、このひ弱な稚貝が、 夏季の高水温で、海底の環境条件が悪い(無酸素状態等)ところへ落下するため、100%近くが死滅するといわれています。

 

 過去の生産状況をみると、ほぼ10数年おきに1〜3万トン台を記録し、これを以上発生といっていますが、それは、たまたま稚貝の落下時期に 環境が生存に適する 条件になったとみるべきであろうとされ、 大量生き残りといった方がよいであろうといわれています。

 ともあれ、生き残った稚貝は、海底生活の中でヒトデ等の害敵におびやかされながら海中のプランクトン(浮遊生物)や有機懸濁微粒を 主な餌とし産卵してから2〜3年で10cm以上成長し、生産の対象となります。

 海底では、白色の右殻を下にし、褐色の左殻を上にしてしますが、 ときには移動もみられます。 また、貝殻に樹木と同じように年輪がみられ、通常の場合、 主に夏に形成され(むつ湾)、年令を読み取ることができますが、 場合よっては、貝にとって不都合(移殖等による生活環境の変化等) なときにもつくられます。