ともやの伝統は革新の連続から生まれる

食という文化は、長い年月を費やして築かれています。とりわけ日本の食は、素材そのものを重視して、いとおしく育んできた歴史の上になりたち、素材こそが真髄であるような食べ方、料理が特徴といえます。つまり刺身が良い例です。ともやの主力商品である「黄金ほたて貝」も、青森県むつ湾で獲れるから、という単純な理由だけでは日本人の厳しい舌に試され、現在のように受け入れられ、支えられるものとはならなかったといえます。
「海で獲る前から、そして獲ってからの処理に人知と努力を尽くし、日本人に、さらに世界の人々に、ともやならではと言われる素材の持ち味を最大限に生かした美味な商品を作りあげお届けしたい。」
ともやは、常に「作る立場」「売る立場」さらに「食べる立場」から、厳選した海の幸に新鮮な風味を保ち続ける加工を施すことによって、食べる人に「ともやの味」を深く味わい、また楽しんでいただくよう、創業以来一貫した姿勢で研究努力を続けています。

生のままのホタテの味覚が自然の恵みの味覚なら、そこにともやの手が加わったホタテの味覚は、まさにともやの長きにわたる革新と叡知の結晶といえます。生きたまま煮る、生きたまま冷凍にする、薫製にするなどさまざまな手法を用いて、潮の香り生命の息吹といったホタテが持つ自然の記憶と微妙に絡み合わせながら、ホタテにともやならではのもうひとつの新たな命を吹き込む。常に「おいしいホタテを提供する」ために試行錯誤と革新の歴史を積み重ねてきました。ホタテは天の恵みです。ともやはホタテを作ることはできません。海という生命の母がホタテを作る場をととのえます。ともやはホタテの持ち味を変えることなく提供するにはどうしたら良いかを追求し続けています。

ホタテ業界において青森ともやは数少ない専業メーカーとして活躍しており、業界を先導する企業に発展してきました。青森ともやは通産省の主導する産・学・官の3つを組み合わせて、自然と先端技術を調和させるテクノポリス構想の青森地域の推進母体、青森テクノポリス開発機構から第1号企業に指定されています(1985年)。
さらに当社では、1988年以来ホタテ煮汁の有効利用について青森県産業技術開発センター、弘前大学と共同研究を重ねてきました。その結果、ホタテ煮汁に多量に含まれるグリコーゲンが、マウスの実験腫瘍や化学発ガン剤によるマウス肝ガンに対して大きな治癒率、腫瘍の数や大きさの抑制、及び癌遺伝子を抑制することを見出しました。さらにこのような活性グリコーゲンが他のアワビやカキ由来のグリコーゲンに比べて外側糖鎖の枝分かれが大きいことが明らかになり、またホタテ煮汁からそれぞれ利用に適した純度を有するホタテグリコーゲン含有粉末の製造システムを開発しました。本研究は「生理活性を有するグリコーゲンの製法及び生理活性」として平成6年10月4日特許取得に至りました。
当社は今後も安全衛生を前提に品質管理を行いながら、ホタテ貝に含まれるさまざな有益な成分の研究・開発を、高度なテクノロジーを駆使しながら、しかも地域に密着した将来性豊かな花形製品、新しい調理法などを開発し、さらに安定し拡大し続けるホタテ産業の実現を目指して参ります。